9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
講習会はすでに始まっており、長テーブルに紙を広げて講義をしているセシリアの周囲に、薬師たちがずらりと集まっていた。

長期風邪の薬の調合方法を熱心に説明するセシリアの声を、皆が注意深く聞いている。

助手の王宮薬師たちも、背後から様子を見守っていた。

扉からこっそり室内に入り込み、入り口の脇に佇むデズモンドとベンジャミンには、誰も気づいていない。それほど誰もが真剣なのだ。

「薬学に明るいとは、貴族令嬢らしからぬ御方ですね。図書室にも熱心に通われていますし、本当に才識豊かで努力家のご令嬢です」

「そうだな。セシリアの知識量にはいつも驚かされる」

ベンジャミンの声に、デズモンドは深く頷いた。

(それに、自ら民に薬の知識を広げる心意気も素晴らしい)

やはり、自分を磨くことにしか興味のない、ほかの貴族令嬢とは違う。

後宮でも、あの美容液の一件以来、彼女の人気はすこぶる高いと聞いた。
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