9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
男薬師からセシリアを引きはがそうと、思わず足が出かけたが、すんでのところで思い直す。

(俺が急に割り込んだら、皆委縮して、きっと講習どころではなくなってしまう)

そう判断したデズモンドは、セシリアから視線を逸らすと、ベンジャミンに小声で話しかけた。

「行くぞ」

「え? もういいのですか?」

「ああ、彼女に任せておけば大丈夫だ。俺の出る幕はない」

扉から出て廊下を早足で進んでいると、「ちょっと、待ってくださいよ~」とベンジャミンが慌てて後を追ってくる。

「なんか、機嫌悪くないですか? もしかして、ヤキモチ焼いちゃいました?」

「……」

この落第魔導士は、どうしてこうも勘がいいのだろう。

その隠れた鋭さは気に入っているが、色恋に関しては邪魔に思うことが多々ある。

自分のひたむきな恋心をいちいち言い当てられるのは、どうもバツが悪い。
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