9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
その後もセシリアは、デズモンドに誘われ、帝都のいろいろな場所に行った。

劇場で今流行っているという歌劇を見て、食堂で民衆に人気のメニューを注文し、本屋に立ち寄って気に入った本を数冊購入する。

デズモンドは、セシリアが購入した本の束を、事もなげに持ってくれた。

身体は相変わらず密着していて、恋人同士のデートとなんら変わりがない。

(すごく楽しい。こんな経験、初めてよ)

長身で、帽子で顔が隠れているとはいえ美貌を隠しきれていないデズモンドは、常に女性たちからの熱い視線を浴びていた。

だが誰ひとりとして、彼がこの国の皇太子だとは気づいていないようだ。

空が夕暮れ色に近づくのを、セシリアは寂しく思う。

夢のようなこの時間が、終わって欲しくないと思ったからだ。

「城に戻る前に、見せたいものがある」
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