9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
そう言うと、デズモンドは再びセシリアを馬に乗せ、帝都の端にある小高い丘に連れて行った。

眼下に広がる景色を見て、セシリアは感嘆の声を上げる。

「まあ、なんて素敵なの……!」

その丘からは、オルバンス帝国の帝都全体が見渡せた。

朱色の空の下で、色とりどりの家々の屋根がひしめき合い、そこかしこから煙突の出る白い煙が立ち昇っている。

前方にそびえるのは、生い茂る森に囲まれた、石造りのオルバンス城だ。

これほど雄大で美しい景色を、セシリアは今まで見たことがない。

「その様子だと、気に入ってくれたようだな。俺も気に入りの場所だ。帝都に出かけたときは、必ず立ち寄るようにしている」

馬を降りてからは一定の距離にいたデズモンドが、いつの間にか体温を感じるほど近くに立っている。

だが不自然な距離感が気にならないほど、今のセシリアは、目の前の絶景に夢中だった。
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