9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
デズモンドは、セシリアの顔を濡らす涙のしずくを、優しい手つきでぬぐってくれる。

真昼の空に似た澄んだ水色の瞳が、まっすぐセシリアを射貫いた。

けっしてどこにも逃がさない、とでも言うかのように。

「改めて伝えたい。俺には君が必要だ。これからもずっと、そばにいてほしい」

「デズモンド様……」

その瞬間、セシリアは、何のわだかまりもなくただ素直に彼が好きだと感じた。

彼を、自分でも知らなかったような心の奥深いところで、愛しく思っている。

(これが、愛するということなのね)

そばにいるだけで胸が高鳴り、彼の一挙一動に心奪われ、見つめられれば泣きたくなるほどに心が震える。

人生を何度重ねても、こんな感情など知らなかった。

同時にエヴァンに抱いていた想いは、恋愛感情ではなかったのだと気づく。
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