9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
   ※

「セシリア!?」
 
急に気絶したセシリアを、デズモンドは慌てて両手で抱えた。

ぐったりと彼の身体にしなだれかかったセシリアは、尋常ではない荒々しさで呼吸を繰り返している。かなりの高熱もあるようだ。

(どうしたんだ、急に)

ただ事ではないと判断し、デズモンドは気絶した彼女を馬に乗せ、急いでオルバンス城に舞い戻る。

自室のベッドに横たわる彼女を、早急に王宮医師を呼んで診察させたが、原因不明とのことだった。

対処の仕方が分からないと嘆く王宮医師に、デズモンドは言葉を失う。

「私は魔導士ではないので判断いたしかねますが、これほどの高熱であれば、魔力熱の可能性もあります。舌に魔法班のようなものも見受けられました。ですがセシリア様は魔法を使えないとお聞きしましたが……」

魔力熱とは、魔力が原因できたす高熱のことだ。自分で魔力を消費した場合と、他者から魔力を受けた場合、双方のケースが考えられる。

また、魔法班とは、魔法が原因で死に至った際に舌に出る死斑のことをいう。

デズモンドの母が突然死した際も、暗黒魔法特有の魔法班が出たことから、原因が明るみになった。
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