9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「時空魔法を繰り返し使ったことによる魔力熱らしい。ジゼルが今、治癒魔法をかけてくれた。効果は長くは続かないが、もう少し待てば薬がくる。飲めばひとまず落ち着くらしいから、心配はいらない」

そう告げると、セシリアは目に見えて狼狽した表情を見せた。

その顔に、デズモンドは確信を覚える。

セシリアはおそらく、時空魔法に限りがあり、その先に死が待ち受けているのを知っていた。

そのうえで、あえて繰り返し時空魔法を使ったのだ。

デズモンドは、投げ出された彼女の左手を両手で包み込む。

「セシリア、教えてくれ。君はどうして、繰り返し時空魔法を使ったんだ? 自分の命を削ってまでして君が守りたかったものとはなんだ?」

セシリアは目を見開くと、みるみる顔を曇らせた。

「それは――」

戸惑うように、口を閉ざすセシリア。

だがデズモンドの真剣な眼差しを受けて、逃げられないと悟ったのか、重い口を開いた。
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