9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
ドクドクと、心臓が嫌な音を奏でている。

混乱による息苦しさを覚えつつ、セシリアどうにか言葉を繋いだ。

「でも、私はもう聖女ではありませんし……」

「構わない。むしろその方が都合がいい。君が聖女でない方が、俺はありのままの君を大事にできる」

「でも、マーガレット様はどうなされたのですか……? それに、新聖女様は……」

「マーガレットは宰相の息子と結婚が決まった。そもそも、あんな欲望まみれの女のことなんかどうでもいい。新聖女など論外だ。あのような子供に、欲情できるわけがない」

気が遠くなるほど長い間望んでいた、エヴァンからの愛の言葉。

それを唐突に投げかけられ、過去の自分が怯みかける。

だが、どこかで聞いたような物言いに心がスーッと冷えていった。

――『これまでのことはすべて忘れて、君はこの国で、君らしく生きるといい』
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