9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
一気にまくしたてると、彼の額に青筋が立ったのが分かった。

「まるで、本物の愛情を知っているとでもいうかのような言い草だな」

あざ笑うように言うと、エヴァンは突然、強い力でセシリアを抱きしめた。

「きゃ……っ!」

驚いて彼の胸から逃れようとするが、思った以上に屈強な腕が、それを許してくれない。

無理やり上を向かされ、顔を近づけられた。

彼の吐息が鼻にかかり、全身にぶわっと鳥肌が立つ。

(キスされる……!? いやだ……っ!)

全力で両腕に力を籠め、彼の胸を突っぱねようとしたそのときだった。

――バンッ!

勢いよく石扉が開き、次の瞬間には、エヴァンの身体が吹っ飛んでいた。

体が熱い温もりに包まれる。

覚えのある香りが鼻腔をついた。

シトラスと土埃と日の光を混ぜたような香り――デズモンドだ。
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