9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「あなたのものだとでも言いたいのか?」

「違う、誰のものでもない。彼女は彼女だ」

デズモンドの声が、セシリアの心を震わせる。

思わず潤んだ瞳で彼を見上げると、エヴァンに向けられた視線とは対極的な、優しさを宿した双眸と目が合った。

そんなふたりの様子を見たエヴァンが、忌々しげに舌打ちをする。

それから立ち上がると、腰に差した剣の柄に手をあてがった。

「ちょうどいい機会だ。手合わせを願いたい。この申し出は、婚約者を奪われた身として、当然の権利だと思わないか?」

デズモンドも、低い声でそれに答える。

「ああ、願ったりだ。だが、血なまぐさいことは神の御前では避けたい。表に出よう」

ふたりとも目が真剣で、有無を言わさぬ威圧感を醸し出していた。

セシリアは、もはや自分の力では、ふたりの意思を捻じ曲げられないことを知る。

セシリアが引き留める隙もなく、ふたりは神殿の外に出て行ってしまった。
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