9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
どうしようもなく不安感に襲われていたそのとき、エヴァンが剣でデズモンドの攻撃を受け止めながら、反対の手を懐に忍ばせた。

取り出されたものが、薄暗い景色を背にキラリと光る。

(あれは、毒針……!)

セシリアは、エンヤード城内にある研究所で、猛毒の研究が進められていたことを思い出す。

その噂について耳にしたのは、遠い昔、二回目のループ人生のときだった。

エヴァンがデズモンドに戦場で一騎打ちを挑み、殺害された際、遺体の胸元から猛毒をしみ込ませた毒針が発見されたのだ。

おそらく、隙を狙ってデズモンドに毒針を刺そうと目論んだものと思われる。

何度も人生をやり直すと、同じ状況下でも違う行動を取る人間も出てくるが、思考回路というものは基本変わらない。

今目の前にいるエヴァンも、デズモンドの隙をついて毒針を刺そうとしているのだろう。

こんなの、正々堂々とした真剣勝負ではない。
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