9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「最後に……これだけ、伝えさせて…くれ……。君を……愛している。たとえ君が……ほかの男に……心奪われた…ままでも……」

(何をおっしゃっているの……?)

まるで、セシリアの心に、デズモンド以外の男がいるとでも言うような言い回しだった。

(デズモンド様は、何か勘違いをなさっているわ……。もしかして、だからここしばらく私を避けてらしたの……?)

「デズモンド様、違うのです! 私も――――」

セシリアは泣きじゃくりながら弁明しようとしたものの、デズモンドの変化に気づいてふと言葉を止める。

彼はいつの間にか力尽き、動かなくなっていた。

水色の瞳からは完全に生気が失われ、何を見るでもなく、ただ地面に向けられている。

「デスモンド様……」

彼の口から、呼吸が感じられない。

喉の動きも静止している。
 
セシリアの声に反応してくれることも、もう二度とない。 
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