エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
一哉とはカフェを出たところで別れる流れになった。
ふたりの間には穏やかな空気が流れているだけに、名残惜しさを感じる。

「それじゃあ、また」

澄夏が言うと、一哉は頷いた。

「気を付けて行けよ。俺はあと二日はこっちにいるから、いつでも連絡して。すぐに出られるようにしておくから」

とても気遣いのある言葉だった。

「ありがとう」

手を振ってから彼と反対方向に歩きだす。心の中に寂しさが広がった。


一哉と別れた澄夏は、実家に戻らずその足で瀬奈との待ち合わせ場所に向かった。

彼女が今滞在しているビジネスホテル。実家には年の離れた弟妹がいて騒がしく、仕事に集中出来ないので数日部屋を取ったらしい。

地元とはいえ、澄夏は初めて訪れるホテル。

一階のフロントの近くに宿泊客以外も利用出来るレストランがあり、瀬奈はそこで待っているはずだ。

澄夏はレストラン内を見回して直ぐに瀬奈の姿を見つけた。

「ごめんね、遅くなって」

彼女はコーヒーを飲みながらテーブルに置いたタブレットを眺めていたが、澄夏の声に顔を上げた。

「いいけど、揉めたの?」
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