エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
社会的立場と彼個人の要素、容姿や能力などを考慮すれば、女性が放っておくわけがないのだ。

それなのになぜか澄夏は信じ切っていた。

「私、一哉さんが激務なのを不満に思ったことはなかった。仕事を頑張る一哉さんを尊敬していた」

澄夏の言葉に一哉が目を見張る。

「ありがとう、澄夏は俺の仕事を理解してくれていたんだな……それなのに離婚を考える程俺たちの距離は開いてしまった。後悔してるよ、もっと早く夫婦で話し合う機会をつくればよかったって」

「それは私もだよ」

夫婦といってもお互いのことをよく知らないまま今日まできた。それは言葉が足らなかったから。

(どこで間違ってしまったのかな)

初めから心を開いて気持ちを伝えていたら、今違う関係になれていたかもしれないのに。

苦い思いが胸に広がる。

けれど澄夏は沈みそうな気持ちを振り払うように笑みを浮かべた。

「一哉さん、いろいろ話はあるけど、今は食事をしよう? お代わりも沢山あるから食べてね」

心を込めて作った料理を楽しんで欲しい。

「ああ、そうだな。久しぶりに澄夏の手料理なんだ」

一哉も気持ちを切り替えてくれたようで、スプーンを手に取る。
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