エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
結局彼は三杯目までお代わりをした。気に入ってくれたのだと伝わってきて嬉しい。

片付け時にも驚く事態が起こった。

一哉が食器洗いを手伝うと申し出て来たのだ。

今までもそのように気遣って貰ったことはあるが、家事は澄夏の役目だと思っていたので、断っていた。でも今は彼の善意を断りたくはなくてお願いした。

ふたりでキッチンに並ぶのは初めてで新鮮だった。

「あ、一哉さん、それは食洗器に入れないで」

彼が手にしていたのは澄夏が気に入って使っているフライ返し。柄の部分が木で食洗器に入れると色褪せてしまうものだ。

「あ、悪い」
「ううん、言ってなかったから」
「このシリーズは手洗いなんだな」

一哉はすぐに理由を察したようで、手早く仕分けていく。こんなところでも要領がいい。

ふたりで家事をするのは思っていたより楽しかった。今更こんな感情になるなんて皮肉だ。

片付けが終わった後、彼が食後のコーヒーを淹れてくれた。

ついに帰宅した目的である話し合いの時間だ。にわかに緊張感が漂う中、澄夏は気持ちを奮い立たせた。
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