エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
独り言のようにつぶやく声は震えている。

「本当よ。一哉さんが忘れ物を取りに帰ってきた日、彼女を連れていたでしょう? そのときに言われたの」

「どうしてそんなことを……」

「それに、一哉さんが帰らなかった日、私が電話をしたら彼女が出たわ。一哉さんそばでは寝ているから話せないって言われて電話を切られたの。普通の同僚だったらそんな真似は出来ないはずでしょ?」

いつになく強い口調になってしまった。

だけどそれだけショックな出来事だったのだ。
夫婦でも気持ちまでは縛れないから仕方がない。そう思っていたけれど、一哉が離婚を拒み澄夏を必要だと言ってくれているのなら話は別だ。

「待ってくれ。誤解だ。南雲さんは部下のひとりというだけだ」
「それならどうして彼女は私にあんなことを言うの?」
「それは彼女に聞いてみないと分からないが、どうして直ぐに言ってくれなかったんだ?」
「実家のことで離婚した方がいいかって迷ってたときだから。一哉さんにとって私は負担でしかないと思っていた。そんなときに夫の恋人だと思わせる人からなにか言われて、相談出来る訳がなかった」
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