エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
真咲が絡んできたのは、澄夏が思い詰めていたときだ。タイミングも悪かったのだと思う。

とてもじゃないが一哉から事情を聞き出して、問題解決をする気になれなかった。

それ以前に、澄夏は彼に愛されている実感などなにもなかったのだから。

一哉はショックを受けたようだが、気を取り直したように顔を上げた。

「さっきも言ったが、南雲さんとはなにもない。だがそれを信じて貰えないのは信頼関係を築けていなかったからだな」

「それは仕方ないよね、私たちはお見合いで……」

「そこからすれ違っているのか。澄夏は、俺が家や将来の出世の為に結婚したと思っているんだろう?」

「うん。だってそうでしょ?」

父が見合いの席を設けなかったら、一哉と結婚出来たわけがない。再会すらなかっただろう。しかし一哉は首を横に振った。

「違う。出会いは見合いだったが、俺は相手が澄夏だったから結婚したんだ」
「え?」
「澄夏は覚えてないかもしれないけど、俺たちが初めて会話をしたのは、もっと昔なんだ」

思いがけない一哉の言葉に驚きながらも、澄香は口を開く。
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