エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
あの頃は中学生だったのだし。それとも澄夏の覚えていないなにかがあった? いやまさか。

「その後澄夏と会う機会は無かったけど、よい思い出として残っていた。だから本来なら気が乗らない見合いを受けたんだ」

「……お見合いの相手が私だから受けたの? 本当に?」

「正直言えば、受けたときに結婚まで考えていた訳じゃない。ただ澄夏に会いたいなと思ったんだ。久しぶりに会って驚いたよ」

「どんな風に?」

「大人の女性になってたから。もちろん昔のままじゃないと分かっていたけど、でもあまりに綺麗になっていたから驚いた」

まっすぐ見つめられて、澄夏は言葉に詰まった。

一哉が直接的な誉め言葉をくれるのは、初めてな気がしたのだ。頬に熱が集まる。

「澄夏は控えめであまり自己主張はしなかったけど、その分人の気持ちに敏感で、誰にでも気遣いが出来る優しさを感じた。一緒にいると俺まで優しい気持ちになれた」

「……そんな風に思ってくれていたの? 私知らなくて」

「俺が悪い。はっきり言葉にしてこなかったからな。態度では表していたつもりだが、澄夏に伝わっているかどうか確認していなかった」
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