エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
今度は一哉の方が驚愕したようだった。

予想外の言葉を聞かされ対応出来ない様子。

ああ、この瞬間がもっと早くくればよかったのに。澄夏が家を出るよりも前に。

(もしそうだったら、少しは自信が持てたかもしれない)

実家が大変で不安なときに彼の前で弱音を吐いて泣けただろうし、真咲の宣戦布告のような発言にも、言い返すことが出来たはず。

そうでなくても、一哉に訴えて不安を解消出来たのだ。

でも現実は、一哉との間の絆を感じることが出来なかったから、別れを考えた。
その方が夫の為になると思ったから。

(一哉さんがもっと早く伝えてくれたら……いえ、彼のせいにするのは違う)

澄夏だってなにも言わなかったのだから。

勇気を出して伝えていたら、彼は今言ったことを打ち明けてくれたはずなのだ。

(すれ違ったのは私自身の弱さが原因なんだ)

感情的に泣く姿を見せたくなかったしいけないと思い込み、出来るだけ分別ある対応をして、別れても彼の記憶の中の自分の評価を下げたくなかった。

本音で向き合って傷つくのが怖かった。

「澄夏……それは本当?」
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