エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
一哉が恐る恐ると言った様子で確認してくる。いつもならつい目を逸らしてしまいそうな張り詰めた空気が漂っていて、自分の心臓の音がドクンドクンと聞こえてくる。

それでもしっかりと頷いた。

一哉が辛そうに顔をしかめて、直後深く頭を下げた。

「ごめん。俺は自分が思ってるよりも鈍感みたいだ」

「え、そんなことは。私が言わなかったのが悪いのだし」

「澄夏が言えなかったのは俺の態度が原因だろ? それに仕事ばかりであまりに家庭を顧みなかった。こんな風に話し合うのも初めてで。結婚して二年経つけど、ふたりで過ごした時間は驚く程少ないんだなと今改めて感じている」

「それは私も思ってた。同じ家に住んでいても顔を合わす時間は本当に少なくて、一哉さんは私よりも同僚の南雲さんと一緒にいる時間が遥かに長いんだよね」

信頼関係を築く機会は妻よりも同僚の方が多いのだ。

一哉は虚を突かれたような表情をした後、澄夏をまっすぐ見つめた。

「この仕事を続けていく限り、ほかの家庭に比べてどうしても夫婦の時間は少ないかもしれない。だけど今よりも澄夏との時間を取って、不安に感じることがないよう努力する」

澄夏は頷いた。
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