エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「それも俺が悪い」

胸が切なくなる。夫は全てを自分の責任にしようとするのだ。

「もう一度……やり直せるのかな?」

「澄夏、必ず幸せにすると約束する。俺に嫌気が差していてすぐに気持ちが戻らないかもしれないが、いつかまた好きだと思って貰えるように尽くす。俺には澄夏が必要なんだ」

「今でも私を必要としてくれるの? この先父が力を失ったままでも?」

「当然だ。将来お義父さんの地盤を引き継ぐという話が出ているのは分かっていたが、それだけで結婚を決める程、俺は割り切れるタイプじゃない。澄夏を愛しているから妻に望んだんだよ」

視界がじわりと滲むのを感じた。涙が頬をぽろぽろ伝わっていく。

一哉が動揺する気配が伝わってきた。

「ごめん、困らせたか? 気持ちを押しつけるつもりはないんだ。ただはっきり言葉にして伝えたかった」

澄夏は涙を拭いながら首を横に振った。

「困ってなんてない。ただ、ほっとしたせいか涙が勝手に出て来て……」

止めようとしても、なかなか止まらない。

「澄夏……そっちに行ってもいいか?」

一哉が遠慮がちに問いかけてきた。

「……うん」

澄夏が答えると、一哉が椅子を引き腰を上げた。
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