エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「澄夏は嫌なのか?」

少し悲しそうに言われ、澄夏の抵抗が緩む。

「嫌な訳ないよ。私だって一哉さんと抱き合いたいと思ってるもの。でも明日も仕事で……」

「よかった」

一哉は澄夏の言葉を遮り、強く抱きしめてきた。

そんな風にされると澄夏の心も愛しさにいっぱいになって、彼を拒むなんて考えられなくなる。

(しょうがないよね……好きなんだもの)

目を閉じて胸元に唇を寄せる夫の頭を抱き寄せた。



翌日。一哉は約束通り銀座にあるイタリアンレストランを予約してくれた。

それ程かしこまった店ではないが、イタリア帰りのシェフが一年前にオープンした人気店だ。

せっかくのデートだからといつもよりもお洒落をして待ち合わせ場所に向かった澄夏は、既に到着していた夫の姿を見つけ、惚れ惚れとした気持ちになった。

遠目からでも目立つ長身で、スーツの着こなしも洗練されたものだ。

無表情のせいか顔立ちの端正さがよりはっきりとしていて、近づき難い雰囲気が漂っている。しかし澄夏に気付いた途端に打って変わった明るい笑顔に変わった。

その表情がとても美しく見えて、澄夏の心臓は更に激しく高鳴った。
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