エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~




六月も下旬になり雨の日が続いている。

なかなか晴れ間がなく憂鬱な日々だったが、夫との仲は良好だ。

彼の仕事は山場を越えて、新しい部署への辞令も出た。経済産業省内での異動で希望したところではないそうだが、やりがいはあると言っていた。

新しい環境に馴染むまではいくら彼でも気苦労すると思うので、せめて家庭ではゆっくり過ごせるように澄夏は努めるつもりだった。

そんなふうに張り切っていたある日の夜、実家から母の体調が悪化したと知らせが入った。

今すぐどうこうという程深刻ではないが、なるべく早く帰省して欲しいと言われたので、澄夏は翌日帰ることにした。

夫を見送ったあと、最低限の家事を済ませてからすぐに出発するつもりでいる。
玄関で靴を履き終えた一哉は、澄夏を見下ろし気まずそうな顔をした。

「約束したのに、一緒に帰れなくてごめんな」
「急な帰省だから仕方ないよ。私の方こそまた家を空けてしまってごめんね」
「俺は大丈夫。でも心配だから夜電話して」
「分かった」

彼は後ろ髪惹かれる様子で、一度振り返ってから玄関を出て行った。

ドアに鍵をかけると澄夏は急ぎ朝食で使った食器を洗い、部屋を簡単に片づけた。
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