エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
とてもそうとは思えないが、真咲に恐れの様子はない。非難される訳がないと思っているからだろう。

(どうして一哉さんが自分の味方をすると思うの?)

彼は彼女とはただの同僚だと言っているのに。

突然尋ねて来て、無礼な発言をする真咲に対して苛立ちが募る。

でも相手は夫の同僚だと思うと、感情的に責めることが澄夏には出来なかった。

「あなたの言い分は分かりました。でも私は離婚するつもりはありません」

だから自分の意思だけ簡潔に伝えた。すると真咲は顔をしかめた。

「あなたは政略結婚なんでしょう? 今の状況を鑑みたら身を引くべきでは?」

一度引いた。でもそれは一哉が望まなかったのだ。しかし真実を告げても彼女は都合よく曲解するだけな気がする。

「現状は把握しています。そのうえで離婚しないと決めました。話がそれだけでしたら、ここまでにさせて貰えますか? 次の約束がありますから」

真咲は不満を露わにしながらも、ソファから立ち上がり玄関に向かった。

帰り際澄夏を振り返り「また伺います。それまでにもう一度考えてください」と念を押してくる。

勝気な彼女の姿が見えなくなると、澄夏は大きくため息を吐いた。
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