エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
経済的に今すぐ困るようなことはないけれど、父はまだ六十歳だし引退には早い。
無気力で日々を過ごすのはよくないと思うのだ。かと言って、頑固な父は娘の助言なんて受け入れないだろうし。
考え込んでいると近づいてくる足音に気がついた。
「お帰りのようです」
和子がそう言い、オットマンから腰を上げる。そのタイミングでリビングのドアが開いた。
澄夏に気付くと、「来たか」と呟く。相変わらず覇気がない。
「おかえりなさい。お父さん、お母さんの様子は?」
「ああ。元気だから心配しなくていい」
「え? でも病状悪化したから連絡をくれたんでしょう?」
「いや……」
父はなぜか気まずそうに口ごもる。怪訝に感じながら待つこと数分。ようやく父が重い口を開いた。
「昨日、母さんが発作を起こした」
「発作?」
「病室でいつも通りに会話をしていたら、急に激高したんだ。大声を出したりそこら辺に置いてあったものを投げたり、宥めるのにかなりの時間がかかった」
「え……そんなことが?」
澄夏は顔をしかめた。とてもじゃないが、母の行動とは思えない。
無気力で日々を過ごすのはよくないと思うのだ。かと言って、頑固な父は娘の助言なんて受け入れないだろうし。
考え込んでいると近づいてくる足音に気がついた。
「お帰りのようです」
和子がそう言い、オットマンから腰を上げる。そのタイミングでリビングのドアが開いた。
澄夏に気付くと、「来たか」と呟く。相変わらず覇気がない。
「おかえりなさい。お父さん、お母さんの様子は?」
「ああ。元気だから心配しなくていい」
「え? でも病状悪化したから連絡をくれたんでしょう?」
「いや……」
父はなぜか気まずそうに口ごもる。怪訝に感じながら待つこと数分。ようやく父が重い口を開いた。
「昨日、母さんが発作を起こした」
「発作?」
「病室でいつも通りに会話をしていたら、急に激高したんだ。大声を出したりそこら辺に置いてあったものを投げたり、宥めるのにかなりの時間がかかった」
「え……そんなことが?」
澄夏は顔をしかめた。とてもじゃないが、母の行動とは思えない。