エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
時間だけでなく、澄夏には話せない業務上の機密も彼女とは共有して相談し合えるのだろう。

政略結婚の愛していない妻と、信頼出来る完璧な同僚。

客観的に考えると真咲に軍配が上がりそうだ。真咲の言うようにふたりが恋人関係なのだとしたらなおさらだ。

いや、そもそも張り合うこと自体が間違っているのかもしれない。

(もし一哉さんも彼女と一緒になりたいと思っていたら……)

澄香が身を引いて別れた方が彼の為にはなる。そんな状況になって欲しくはないけれど、今の澄夏は父という後ろ盾がなく彼を引き留めるだけの利点はないのだから。


しばらくは沈んだ気持ちを立て直せそうにないけれど、予定通り礼品の手配を済ませ、そのあとは夕食の準備をした。他の家事を済ませた頃には日が落ち外は暗くなっていた。

(一哉さんは今日も遅いよね)

澄夏は、スマートフォンの画面を眺めて溜息を吐いた。

普段なら夕方に帰宅予定を知らせる電話かメッセージがあるのに、今日に限って音沙汰なし。澄夏の方からメッセージを送ってみたが、未読のままだ。

もやもやとした気持ちが胸を覆い、焦燥感のようなものが込み上げてくる。
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