エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
それから三十分。依然として連絡はないままでさすがに心配になり、澄夏は一哉に電話をした。

急用でもない限り仕事中の電話は遠慮しているが、ここまで音沙汰無く遅くなったのは初めてだ。真咲の件もあるが何等かのトラブルの可能性も過りかけずにはいられなかったのだ。

スマートフォンからは呼び出し音が聞こえるだけで、一哉はなかなか出てくれない。

諦めて切ろうとしたとき、ようやくコール音が止まり、応答する声が聞こえてきた。

《はい》

ほっとしたのは束の間。電話に出たのは一哉ではなく女性の声で、予想外の状況に澄夏は思わず息をのむ。

無言の澄夏に、相手は《奥様ですよね》と平然と言った。

「はい、あなたは……」

《昼間お目にかかりました南雲真咲です》

やっぱりと心の中で呟いた。心臓がドクドク波打つ。

「あの、夫は?」

(なぜあなたが電話に出るの?)

そう聞きたかったけれど、澄夏に問い詰める勇気はなかった。

《須和さんは今出られません》

真咲の方は堂々としたものだ。後ろめたさなどなにもないといった様子。

「席を外しているということですか?」
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