エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
嫌な相手からなのか、一哉は僅かに眉をひそめてから応答する。

「はい……えっ?」

受話器から男性の声が漏れ聞こえた。
なんだか慌てている様子だったから仕事で何か有ったのだろうか。一哉は受け答えしながら書斎に向かう。

(一哉さんに見せるタイミングを無くしてしまった)

あの様子ではしばらく戻って来ないだろう。

一人残された澄夏は小さな溜息を吐いてからスマートフォンの画面を確認した。
しっかりと発進履歴がある。

(いったいどうして……)

真咲が出たときの履歴は彼女によって消されている可能性がある。

そうしなければ一哉が気付いてしまうから。

二度目も彼女が消したのだろうか。証拠もないのに犯人扱いはよくないけれど、どうしても疑惑は消えなかった。

三十分程してから一哉が書斎から出て来て、シャワーを浴びにバスルームに行った。

深夜零時になろうとしているけれど、澄香は寝室で彼が来るのを待っていた。

今夜のうちに家を出ることを伝えようと思っている。

もちろんいきなり離婚なんてワードを出すつもりはない。

実家の問題で向こうに長期滞在したいと言おうと思っている。そうすれば揉めずに別居が進むはず。
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