エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
そんなある日、自宅に衆議院議員の岩倉通成がやって来た。

地元選出の代議士だが、普段は東京で生活をしている為、一哉が彼を間近で見るのは初めてだ。

部下と思われる男性をひとり連れていて、いかにも偉そうな雰囲気を醸し出していた。

「岩倉先生! わざわざご足労いただきありがとうございます!」

父はそれまで見たことがない程腰を低くし、それは丁重に彼を迎えた。

愛想笑いを浮かべた父は強引に出迎えに参加させた一哉の背中をどんと叩き、前に押し出す。

「息子の一哉です。どうぞ思い知りおきください」

ぐいぐい押して来る父に苛立ちながら、一哉は岩倉代議士に頭を下げた。

「よろしくお願いします」

「ああ、君の名前は聞き覚えがあるな。陸上の選手だろう? 立派な成績を残したそうだな。今後も期待してるよ」

「ありがとうございます」

「先生、こちらに」

息子が褒められたのが嬉しいのか、父は上機嫌で岩倉代議士を応接間に案内する。
ここからは大人の話合いなので一哉は加われない。

三十分程打合せをしてから、岩倉代議士は帰っていった。
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