エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
ただ、ずっと陸上で関わり支えてくれた監督や仲間の期待を考えると、簡単に決められなかった。

なにより一哉自身も陸上への未練があり迷っていた。

(周りの期待を裏切ってまで、政治家への道を目指して後悔しないか? 叶うかも分からないのに)

誰かに相談しても夢物語と否定されそうな気がして、なかなか口に出すことが出来ずにいた。

そんなある日、父の命令で参加した地域の清掃活動で、澄夏と出会った。

作業前に簡単な説明を受ける為にボランティア全員で集合したときのことだ。彼女は周囲の注目を集めていた。

見た感じではまだ中学生だろう。そんな若い女の子が参加している自体が珍しいというのもあるが、彼女が代議士岩倉通成の娘だというのが視線を集める一番の理由だ。

清楚で上品な雰囲気を纏う少女だった。なにも知らなかったとしても、どこか良い家のお嬢様だろうと思ったはずだ。

皆彼女に遠慮して気を使っていた。

ただ本人はその自覚がないようで、誰よりも熱心に花火の玉殻を拾い集めていた。

自分と同様に父親の指示で来ているのだとしても、適当にサボることは出来る。それなのに彼女は真面目に取り組んでいる。
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