もう一度会えたなら
 冷蔵庫に食材を詰めながら、美紀は考えていた。
 これでは大希と同じなのではないか、と。
 しかも海斗は既婚者なのだ。女性と手を繋いで歩いて、抱き合っているところを知人や奥さんに見られでもしたら、一体どうしていたのだろう。

 考えすぎなのだろうか。
 握手だと思えば平気なのか。
 ハグまでは挨拶なのか。

 空腹状態の頭は回らない。
 今日初めての食事の夕食を終えた美紀は、そのままソファーで眠ってしまった。


 翌朝、美紀は早くに目覚めた。
 昨日たくさん涙を流したせいで目元はもたついていたが、気持ちは少しすっきりしていた。
 朝食を済ませ、すっきりした頭でもう一度考えた。

 ――次会ったら、ちゃんと謝ろう。


 それから一ヶ月が経った。
 一ヶ月も経ってしまったのだ。
 そんなに都合よく、偶然の再会などあるはずがない。
『まほろば』へ行けば会えることは分かっている。けれど、時間が経てば経つ程行き辛さが増し、店への足はどんどん遠退いていった。

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