もう一度会えたなら
 郵便受けを開けると、数枚のチラシがひらひらと落ちた。広い集めていると、一枚のチラシが目に留まった。
 パステルカラーで描かれた可愛いイラスト。
 パンケーキの文字。
 それは、数ヵ月前に海斗との会話に出ていた、駅前のパンケーキ店の週末オープンのチラシだった。


 土曜日。
 美紀はチラシのパンケーキ店に行ってみることにした。そこでもし海斗に会えたら、今度こそちゃんと謝ろうと考えていた。
 
 人気店のオープン初日とあって並ぶのは覚悟していたが、遠目からでも分かる程の予想を上回る長蛇の列を目にして、美紀は尻込みしていた。 
 少し立ち止まって考えていると、最後尾に並ぶカップルの後ろに一人の男性が並んだ。それを見た美紀は、慌ててその男性の後ろについた。
 これがバンドワゴン効果というものなのだろうか。美紀の後ろにもすぐ二人の女性が並んだ。
 美紀は頭を傾け、店の入り口まで続く列を順に目で追っていったが、そこに海斗の姿はなかった。
 漠然と「会えたら」と思っていたが、海斗とはオープン初日に行こうと話していたわけでもなく、二階建ての広い店内では、席をひとつづつ回らない限り見付けることはできないだろう、と気付いた時には既に美紀の後ろに十数人が並んでいた。
 このまま列から抜けるのが惜しくなった美紀は、大人しく順番を待つことにした。

< 23 / 26 >

この作品をシェア

pagetop