BeAST
頭を上げて、
「…俺、キモくね?」
と聞けば、少し体を離して俺の顔を見る耀介。
ふう、と息を吐き、
「キモくない。ただ、確実にそんな灯織は初めて見た。なんか、まだ殻被ってたヒヨコが殻から出てきた感じ?」
「……なんだその例え」
「まあ、俺に関しては、もう既に殻から出てきて居るもんだと思ってたけど、そういやまだ殻被ってるヒヨコだったんだよなって反省しているところかな」
俺の、成長過程の話をしているのか?
「灯織が、16歳の女の子だってこと改めて感じた。きっと灯織はそれがむず痒いんじゃない?」
ストン、と腑に落ちた気がした。
「昔の灯織は、人を好きになることはおろか、人を信じることすらしない、それを危険だと判断していた。環のおかげで、少しずつ人を無条件で信じられるようになった灯織を見ていて、それだけで俺はかなり、満足しちゃってた」
目線を落とし、再びを俺を見た時、耀介は口角を上げる。
「丞のこと、好きになっちゃった?」
また、脈が速くなる。
心臓のあたりを掴む。
そのタイミングで、ブブッとスラックスのポケットに入っているスマホが震える。
開けば、
『柿谷柊吾 : この間はどうも。』
すぅ、と頭が冷える。
「どうした?」
「仕事の連絡」