BeAST
「どんなふうに大丈夫じゃねえんだ?」
丞さんの額に手を当てても、特に熱いわけでもなく、頸動脈に手を当てても脈拍も俺とそんなに変わらない。
「丞さん」
これ、体調というか、精神的な問題なんじゃねえか?
俺は丞さんを引き寄せて、背中をポンポンと撫でる。
こういう時は、これが一番だと思ってる。
環も耀介もいつもこうするから。
ぎゅうっ、と俺を抱きしめ返す丞さん。
「もう、会えないかと思った」
え?
なんで?
「耀介が、お前が会いたいっつっても会わせないから、って。」
あー、そういうこと。
いやどういうこと。
「今日、耀介に土下座してでも許可もらおうと」
「は?」
「それで気合い入れてたら、灯織いるんだもん。心臓止まるよ俺」
「それにしちゃ、テンション低いだろ」
「仕事場では、一応俺ちゃんとしてるの。美容師だって、言い方変えれば職人さんよ?後輩もいっぱいいるわけでさ。そんな場所で、女の子押し倒せないでしょ」
あー、抑えてるわけね。
「でも、すげえ抱きついてるし、アウトじゃね?女のスタッフの人ら、驚いてたぞ」
「仕方ない、じゃん」
体を離して、耳を赤くして俺を見る丞さん。
「好きだーって、年甲斐もなく思っちゃったんだもん」
きゅうっ、と心臓が掴まれたような感覚。