BeAST
胃がキリキリする。
胸が苦しい。
好き。
「…逃げ場所は」
絞り出したような声。
ああ、抱き締めたい。
甘えてしまいたい。
「考えた。考えた結果、やっぱいらねえや。」
俺の手を握る丞さんの手を、ゆるりと解く。
「なあ、丞さん。俺のこと好き?」
丞さんの瞳が揺れる。
「……好き」
枯れそうな声。
俺が何をしようとしているか、薄々気が付き始めていて。
「すげえ、嬉しい。今までの告白で1番嬉しいわ」
自然と笑ってしまう。
目が潤む。
「お願い。明日は丞さんが1番綺麗だと思う俺にしてよ」
丞さんを選べない俺に、幻滅していいよ。
丞さんに俺の気持ちを伝えたとして、何になる。
抱き締められて、抱き締め返して、優しさに微睡んで俺はいいかもしれない。
けど、丞さんは?
「もう、こんなお願いしないから。今回だけ甘えさせて、背中押して?」
これまでは、こんなお願いも誰にもしてこなかった。
「きっとこれで、丞さんも分かるから」
俺に近づけば近づくほど、辛い思いをする。
俺は自分を優先できない。
しないんじゃなく、できない。
人を救いたいと思うのも、そうじゃないと、俺は生きられないから。