BeAST
コテンと首を傾げて、オクターブ上の声で甘い笑顔を見せれば、狐につままれたような顔をする橘。
「ふふ、ではまた明日。さようなら、橘先生」
ゆるりと頭を下げて、くるんっと後ろを向いて自分の席まで歩く。
カバンを持って、教室を出ようとすれば、4人が着いてくる。
「何、待ってたの?」
女の振る舞いで聞けば、4人とも黙る。
「慣れてね。よろしく」
ニコッと笑えば何故か顔が険しくなる幸大と慎矢。
「別人とはこのこと」
幸大の一言で理解する。
まあ慣れるまでは違和感でしかないよな。
慎矢に関しては、女の姿で何回か会ってるし、あんまりいい思い出ないんだろうな。
「ひ、灯織」
声をかけられて、その方向を見れば、元同じクラスの奴ら。
「うお、マジで反応した」
UMAでも見たみたいな反応だな。
「え、あの、元弓木灯織で間違いないのか?」
ジーッと見ていれば、少しずつ目を合わせなくなるそいつら。
「間違いない」
オクターブ上の声。
「え、じゃ、じゃあ、男装してたってことか」
「うん、事情あって」
「じゃあ、ずっと女の子だったって、こと」
「そういうこと」
ニコッと笑えば、体に力が入る男たち。