BeAST



「灯織って、こんな、可愛かったのか」


その一言で、俺の視界は暗くなる。


「む」


顔面を手で覆われる。


こんなことすんの1人だけだろ。


手首を持ってどうにか引き剥がそうとする。


「んん(おい)」


「見るな、減る」


確かこっちに慎矢が居たはず。


バシバシと叩いて助けを乞う。


「漸、灯織が窒息する」


「ぷはっ、おいてめえ殺す気か」


漸を睨めばそっぽを向く。


「…悪い、ちょっとからかった。残念ながら中身はまんまだからな。」


はあ、と息を吐き元クラスメイトの奴に言えば、呆気に取られている。


「演技してたわけじゃねえよ。素がこれ。」



「嘘だろ」


「嘘つかねえよ。よく考えろよ。素がこれじゃなかったら、水泳の授業での会話、平然と聞いてられると思うか?」


水泳?と首を傾げた男たちが幸大を含めて、目を見開き、身を寄せ合う。


「か、かか会話だけじゃないだろ、お前」


「は?会話だけに決まってんだろ。お前らが全裸で馬鹿やってんのなんか眺めて俺に得ねえだろ。」


股間を押えて恥ずかしそうにするそいつらの様子がおかしくて、笑ってしまう。


「そういや、灯織は寝てたなずっと」


「くだらねえって会話にも入ってこなかった」


「それが許されるキャラだからな」


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