BeAST
「おい、やめとけよ。柊吾さんとミキはもう別れて」
ガンッと派手な音が鳴る。
人通りの少ない路地で良かった。
「何名前呼んでんの?誰が許可した?」
別に怒ってない、柊吾は。
けど、片方の男の首を掴んで壁に押し付けてる。
つくづく面白い男だと思う。
誰もがこの行為で、柊吾が俺を相当気に入っているのだと思える。
柊吾は、俺自体を地雷だと思わせて深く調べさせないつもりなんだろう。
俺は、もう鳳の人間なわけだしな。
「柊吾、いいよ。これから仕事でしょ?」
高いトーンの声に柊吾がこちらを見て、
「そうだけど、時間余してたところ」
柊吾は手を離して、こちらに歩いてくる。
男たちはすみませんでした!と頭を下げて逃げていった。
「ははっ、ヤクザ?」
地声で話せば、
「馬鹿」
デコピンされる。
ヤクザよりタチ悪いかもな、この人は。
それに、今の馬鹿、は、
「大事な子達なんでしょ。軽率にこんなところ来ちゃダメだろ」
「癖でつい」
「本当に馬鹿」
久しぶりの感覚。
柊吾の傍のこの空気感。
「大丈夫?怖かったでしょ。」
犀川と与坂を見て、二人の頭をポンポンと撫でる柊吾。
「ここ通ってどこ行きたかったの」
「この近くの食べ放題。そこで慎矢達と待ち合わせてんの」
「…へえ」