BeAST



……


「お前ら本当に兄弟だな。しかもお互いがお互いを好きすぎてる。」


俺の言葉に、漸が慎矢を見てため息をつく。


「馬鹿だよ」


柊吾がボソリと呟いた、その言葉の意味。


「興田春と続いてるんだ?」


歪んだ弟への愛と、懺悔。


「兄貴には関係ない」


傷付けられても、突き放せない弟。


「関係あるだろ。もしかしたら、俺の妹になるかもしれないんだから」


グッ、と拳に力が入る慎矢。


煽られている感覚が強いだろうが、現実的に可能性は高いだろうし、ハルの精神状態が安定しなければ柊吾と顔を合わせるのは難しい。


「お前も大変な兄貴持ったな?」


俺が笑えば、睨まれる。


「俺も人のこと不器用だとか言えた人間じゃねえけど、柊吾が謝ればお前らは許そうとするだろ。だからこいつは謝らない。そんで、お前はそれをちゃんと分かってるんだろ。」



目線を落とす慎矢。


「ホント、可愛いね慎矢は」


クスッと笑って、柊吾を見れば


「でしょ」


「お前は悪い兄貴だけどな」


「本当にね」


切なげな顔をした。

柊吾が。

時折、俺にだけ見せる顔。


「嘘。お前も可愛いよ。」


そう笑えば、無表情で俺の目を見る柊吾。


「ほら、お前仕事あんだろ?時間大丈夫か」



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