BeAST
俺の方へ伸びそうになった柊吾の手。
それがピタリと止まる。
「あんま無理すんなよ?まあ、お前自己管理すげえしハイスペだから、そんな心配はしてねえけど。」
「そうだね。そんなに生活は変わってないよ。灯織の世話がなくなっただけで」
「世話ってな。俺はペットか」
「ご飯作るのも洗濯するのも風呂準備すんのも俺だったでしょ。ペットと同等」
そう言われてみればそうか。
「手伝ってただろ」
「多少ね」
「お前そんなこと言って、本当は寂しいんだろ」
少しムキになって言ってみれば
「当たり前でしょ」
俺に向けられる目に、少し困惑する。
けど、すぐに頭を切り替える。
「じゃー、新しいペット早く見つけろよ。」
俺はこいつに優しくしない。
俺が離れると言ってから、こいつは少し変わった。
分かる。こいつの俺に向ける感情が、なんと呼べるかを。
そこでこいつに労りの言葉をかけたところで、それは優しさじゃない。
優しくしない、それは違うな。
これが、こいつのための優しさだ。
「そうだね。灯織みたいな図々しくてワガママな子見つけなきゃ」
「誰が図々しくてワガママだって?」