BeAST



俺の言葉に柿谷が俺を見る。


「あいつが、お前のこと見るなって言った理由分かった気がする」


俺は殴られた女子に近寄りしゃがみこむ。

顎を掴んで、殴られた頬を見る。

口端切れてるな、保健室…


「……っ」


助けて、って顔を向けられる。

少しずつ、少しずつ、俺の腹ん中が鉛のように重くなっていく。

馬鹿な女。


「はは、同情?優しいね、モテ男くん」


あ、こいつ蹴るつもりだ。

バッとその子の体を覆う。


ガンッ


机が蹴られる。



「なあ、そこ退けねえと、お前、殺すよ?」



ああ、ダメだ。

こいつ。



「ふ、はははは」



ああ、なんだよこれ。



「何、笑ってんの」


誰も信用してない。

力でしか人を支配できないと思ってる。


立ち上がり、柿谷の方を振り返る。


「ひとりぼっちだなぁ、柿谷」


余裕そうな顔が、少し崩れる。


「寂しいか?柿谷。どいつもこいつも、自分の外側しか見てくれない。凄く嫌だ。でも仕方ないよなぁ。お前の中身、空っぽだもんなぁ」


ドッ



腹を蹴られる。

ガタガタと机に体がぶつかる。


「…っ、……イラつくよなぁ、腹立つよなぁ、お前に何が分かる?ずっと孤独な、慎矢くんのことなんか」


目を見開いて、柿谷の目を真っ直ぐに見る。


ガッ


胸ぐらを掴まれて頬を殴られる。


悲鳴が上がる。


「ははは、ぜーんぶ分かるよ、お前のこと」




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