BeAST
面白いくらいに、分かるよ。
柿谷の顔が無になる。
俺の口の端からボトボトとワイシャツへ滴り落ちる血液。
胸ぐらを掴んで、片手でずるずると窓側まで俺を引き摺る。
そして、窓を開けて、俺の上半身を外に出す。
流石に、悲鳴と制止の声が聞こえる。
ダラン、と体の力を抜く。
「灯織くっ」
泣き声まで聞こえる。
「……っるせえ、黙れよ」
そう言い放ったのは、柿谷じゃない。
俺だ。
腹の底から、今までで1番でかい声。
静かになる。
あー、静かだ。
なあ、環。
今度は、俺が救う番なのか?
じゃなきゃ、タイミングが良すぎるだろ。
こんな、昔の俺そっくりなやつ。
「よく見てな」
ドンッ
柿谷の胸を蹴って、外に体を放り出す。
「は…?」
訳の分からないと言った顔をする柿谷の顔を見て、微笑んで、俺は落ちた。
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「何考えてんだ!!!」
キーンと耳が鳴る。
怒鳴りつける耀介。
「ひお、これは流石にないよ」
静かに怒る環。
「下に植木あるの知ってたし、あそこ2階だから、足から落ちれば逆さになるまでは時間かかんねえってちゃんと計算して」
「そういうことじゃないだろ」
何故、俺は病院でまで胸ぐらを掴まれなきゃなんねえんだ。