BeAST
「灯織は素直じゃないから、こっちが心の窓全開にしないと伝わらない。それも、皆知ってる」
柔らかく笑う七種。
ああ、そうかよ。
「さんきゅ」
思い出す。
入学早々。
授業日1番最初の日。
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「おい、ばあさん」
学校付近の歩道橋で、大量の荷物を持つばあさんがいた。
耳が遠いのか、俺の声が聞こえない。
「おい、そこのババア!!!」
腹から声が出た。駆け寄った。
周りの学生やリーマンはザワつく。
誰もが、不良が悪行を働くと思ってただろう。
「危ねえだろ!何考えてんだ!」
ばあさんの体を支える。
「えぇ?」
少し脅えたように俺の顔を見上げるばあさん。
「んな荷物で階段降りて、落ちたらどうすんだよ。死ぬ気か」
俺の言葉を少しして、理解したようで、目を瞬かせる。
「荷物寄越せ。どこまで運ぶんだよ」
「えぇと、家まで」
「家どこ」
ばあさんが言った住所はそこそこ距離があった。
確実に時間に間に合わない。
けど、
「じゃあ、乗れ。他寄るとこねえんだな?」
しゃがみこんで背中に乗るよう促す。
「で、でも悪いわぁ。学生さんでしょう?学校に遅れちゃうんじゃ」
「アンタが道端で野垂れ死ぬのと、遅刻すんの、どっちが気分悪ぃと思う。ちんたらすんな、早く乗れ」