魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 鼓膜に届く音に合わせ、喉を震わせて歌を紡ぎ出した。

 希少素材をたくさん目にして興奮したのか、それとも他人がいる状態で錬成するのが初めてで緊張しているからか、最初はうまく声が出ない。

 でもそれも、歌に集中してからは関係なかった。

 清々しい春の風。鼻腔をくすぐるかぐわしい花の香り。口に含んだわけでもないのに、舌先に渋みを感じる。私がラッテの乾燥葉から連想した味だ。

 春の花の香りが渋みを消すように、歌声を意図的に華やかな響きへ調整する。

 錬成に合わせて、ポーションに変わる薬液と声が溶けていった。

 ありがたいことに、ふたりは余計な音を一切発しなかった。

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