天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
「そんな地位全く興味がない。でも、この病院が腐ってる限りトップが変わらなきゃいけない。それだけの話だ」
「ゆ、優弦貴様、叔父にため口をきくなど……!」
「本当はこんな病院残して出ていく予定だったが、差別者ばかりの病院にいる患者があまりに不憫だから残ると決めた」
「なっ……! バース性に関する研究は事実だ! 何が差別だ! お前だってアルファ型の血の恩恵を受けて来たくせに……!」
「俺の前で二度と差別的な発言をするな!! ……そう言ったはずだが?」
優弦さんの怒鳴り声で、再び室内に冷ややかな空気が流れる。
幸久さん夫婦はすっかり怯え切った顔をしていて、もうそれ以上何も言えなくなっていた。
私も、こんなに恐ろしい優弦さんを見るのは初めてで、ずっと心臓がバクバクしている。
そんな私を察したのか、優弦さんが私の方を振り向くと、そっと隣に引き寄せて肩を抱いてきた。
「驚かせてすまない。怖い思いをさせたね」
「優弦さん……」
眉をハの字に下げて、申し訳なさそうに謝る彼を見て、ようやく緊張の糸が解けた。
彼だって、本当は家族に対してこんなことしたくなかっただろうに……。
苦しい気持ちになって俯くと、優弦さんは私の手をしっかりと握りしめた。
「どのみち、俺は世莉と一緒にこの家を出ていきます」
「な、何だと……!」
「古いしきたりをずっと守ってるこの家は、もう呪いの家にしか思えませんから」
暫く意気消沈していた旦那様が再び声を張り上げるも、優弦さんは毅然とした態度だ。
この家を出ていく……? 私と一緒に……?
まさに寝耳に水な話に、私自身も驚いている。
すると、旦那様が勢いよく立ち上がり、私を恨みたっぷりな目で睨みつけて、指をさしてきた。
「どうせこのオメガの婚約者にくだらんことを吹き込まれたんだろう! 余所者の言葉で気変わりするなど情けない。お前に病院を継げるわけないだろう‼」
……その言葉に、優弦さんの怒りが頂点に達したのが、間近で見て分かった。
音もなく、ただ静かに、優弦さんは怒りの炎を燃やしている。
旦那様が、超えてはいけない最後の線を越えてしまったことは、この場所でたったひとり私だけが理解していた。
優弦さんも同じように立ち上がると、恐ろしいほど冷たい目つきで旦那様のことを睨みつけた。
「ゆ、優弦貴様、叔父にため口をきくなど……!」
「本当はこんな病院残して出ていく予定だったが、差別者ばかりの病院にいる患者があまりに不憫だから残ると決めた」
「なっ……! バース性に関する研究は事実だ! 何が差別だ! お前だってアルファ型の血の恩恵を受けて来たくせに……!」
「俺の前で二度と差別的な発言をするな!! ……そう言ったはずだが?」
優弦さんの怒鳴り声で、再び室内に冷ややかな空気が流れる。
幸久さん夫婦はすっかり怯え切った顔をしていて、もうそれ以上何も言えなくなっていた。
私も、こんなに恐ろしい優弦さんを見るのは初めてで、ずっと心臓がバクバクしている。
そんな私を察したのか、優弦さんが私の方を振り向くと、そっと隣に引き寄せて肩を抱いてきた。
「驚かせてすまない。怖い思いをさせたね」
「優弦さん……」
眉をハの字に下げて、申し訳なさそうに謝る彼を見て、ようやく緊張の糸が解けた。
彼だって、本当は家族に対してこんなことしたくなかっただろうに……。
苦しい気持ちになって俯くと、優弦さんは私の手をしっかりと握りしめた。
「どのみち、俺は世莉と一緒にこの家を出ていきます」
「な、何だと……!」
「古いしきたりをずっと守ってるこの家は、もう呪いの家にしか思えませんから」
暫く意気消沈していた旦那様が再び声を張り上げるも、優弦さんは毅然とした態度だ。
この家を出ていく……? 私と一緒に……?
まさに寝耳に水な話に、私自身も驚いている。
すると、旦那様が勢いよく立ち上がり、私を恨みたっぷりな目で睨みつけて、指をさしてきた。
「どうせこのオメガの婚約者にくだらんことを吹き込まれたんだろう! 余所者の言葉で気変わりするなど情けない。お前に病院を継げるわけないだろう‼」
……その言葉に、優弦さんの怒りが頂点に達したのが、間近で見て分かった。
音もなく、ただ静かに、優弦さんは怒りの炎を燃やしている。
旦那様が、超えてはいけない最後の線を越えてしまったことは、この場所でたったひとり私だけが理解していた。
優弦さんも同じように立ち上がると、恐ろしいほど冷たい目つきで旦那様のことを睨みつけた。