天敵御曹司は政略妻を滾る本能で愛し貫く
 それだけで、ゾクゾクと熱い熱が背中を駆け巡った。
 ドクンドクンと心拍数が跳ね上がって、自分からも熱い息が漏れる。
「咬むよ、世莉」
「んんっ……」
 まるで、脊髄に電流が流れるような衝撃。
 少しの痛みが走った後、すぐに快感がつま先から這い上がってきた。
「はっ……優弦さ……っ」
 触れている所が、熱くてたまらない。もう何も考えられない。
 目の前がチカチカして、正気を保っていられなくなる。
 自分の中に優弦さんが混ざっていくようなそんな感覚でいっぱいになって、意識が朦朧とした。
ああ、これでようやく、番関係が結ばれたんだ……。
 多幸感がじんわりと広がっていき、訳も分からず涙が出てきた。
「世莉……、大丈夫? 痛くない?」
「……優弦さん」
 私たちは番になった。その喜びをただ噛み締めていると、咬むのを終えた優弦さんが心配そうに顔を覗き込んでくる。
 そんな優弦さんに、私は思い切りぎゅっと抱きついた。
「優弦さん、愛してます……」
 この人と、どこまでも共に歩いていこう。
 たとえ、どんな困難が待ち受けていようとも。
 オメガ型の自分を受け入れて、戦っていくと決めた。この人と一緒なら戦えると思えたから。
 だからもう、絶対にこの手を離さない。
「優弦さんで、埋めつくしてください……」
「世莉……」
「もう、あなたと二度と離れられないという幸せを、実感したいんです……」
 涙を流しながら笑顔でそう伝えると、優弦さんの雰囲気が変わったのを感じた。
 さっきまで私の体調を案じて不安げな顔をしていたのに、今はもう、獣のような瞳をしている。
 すっと顎に手を添えられて、気づいたら深い深いキスを落とされていた。
「んんっ、優弦さ……っ」
「世莉、ちゃんと口を開けて」
「え、あっ……」
「悪いけどもう、何も我慢できない」
 ゾクッとするほど、低く艶めかしい声。 
 この人に、圧倒的に逆らえないことが分かる。脳が、そう理解している。
 理性が利かない。本能が剥き出しになっていく。
「優弦さん、優弦さっ……」
 でも、私は私の感情を手放したくなくて、何度も名前を呼んだ。
 番を結んだせいだろうか。今までで一番、体が言うことを聞かない。ただただ、優弦さんに触れられることを本能が求めている。
「本当は、世莉が視界に入るだけで欲情してた。……今までずっと」
「え……?」
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