全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「お母さん、なにか手伝おうか?」
「もう終わってるから大丈夫。座ってなさい」
夜はかにすきの鍋を囲む予定みたいで、キッチンの中はすでにあれこれ準備されていた。
「お姉ちゃん、お茶淹れたから向こうで話そ? お母さんも!」
京香が呼びに来たのでリビングへ移動した。
妹は昔から天真爛漫な性格なので、いつもみんなを明るくする。まるで太陽のようだ。
魁とのことを話そうと考えている今日、いてくれるだけで場の空気を変えてくれる京香の存在がありがたい。
「もうね、毎日子育てでグッタリだよ~」
親子四人でたわいもない会話を交わす。
京香は愚痴のような言葉を漏らすものの、表情は明るくて、夫と子どもたちを愛しているのだとひと目でわかった。
母はきっと、私にも京香のようになってほしいと願っているのだろう。
妹のところは誰もがうらやむような家庭円満だから。
ふとした拍子に、母とバッチリ目が合った。
まずいと思ったが、その瞬間に「郁海」と名を呼ばれてしまった。
「この前電話で、付き合っている人がいるって言ってたわよね?」
いつ話を切り出そうかとタイミングを見計らっていたところへ、母が業を煮やして私に尋ねてきた。
逃がさないと言わんばかりに、じとっとした視線を向けてくる母が、メデューサみたいで怖い。
「もう終わってるから大丈夫。座ってなさい」
夜はかにすきの鍋を囲む予定みたいで、キッチンの中はすでにあれこれ準備されていた。
「お姉ちゃん、お茶淹れたから向こうで話そ? お母さんも!」
京香が呼びに来たのでリビングへ移動した。
妹は昔から天真爛漫な性格なので、いつもみんなを明るくする。まるで太陽のようだ。
魁とのことを話そうと考えている今日、いてくれるだけで場の空気を変えてくれる京香の存在がありがたい。
「もうね、毎日子育てでグッタリだよ~」
親子四人でたわいもない会話を交わす。
京香は愚痴のような言葉を漏らすものの、表情は明るくて、夫と子どもたちを愛しているのだとひと目でわかった。
母はきっと、私にも京香のようになってほしいと願っているのだろう。
妹のところは誰もがうらやむような家庭円満だから。
ふとした拍子に、母とバッチリ目が合った。
まずいと思ったが、その瞬間に「郁海」と名を呼ばれてしまった。
「この前電話で、付き合っている人がいるって言ってたわよね?」
いつ話を切り出そうかとタイミングを見計らっていたところへ、母が業を煮やして私に尋ねてきた。
逃がさないと言わんばかりに、じとっとした視線を向けてくる母が、メデューサみたいで怖い。