全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「そう、お父さんの言うとおり! 当人同士の気持ちが第一だよ!」
父に続いて今度は妹が援護射撃をしてくれた。
「お姉ちゃんがその人と付き合って幸せならそれでいいよ。昔、私とお母さんでお姉ちゃんの結婚の世話を焼いて大失敗したじゃないの。ひどいことをしたって、私は今でも反省してる」
京香がそんな気持ちを持ち続けていただなんて、今初めて知った。
たしかに二十五歳でお見合いをしたきっかけは、京香が結婚を控えていたからだったけれど、私の婚約解消は彼女のせいではないのに。
「ふたりとも郁海の味方をして……私だけ悪者?! 私はね、魁くんや郁海の将来を考えて言ってるの。人生は“今”だけじゃないのよ?」
母が気にしているのは人生設計とか体裁だし、私が魁との恋愛で大事にしているのは気持ちの部分だから、どこまで話し合っても平行線だ。
「お母さんはさ、なんにもわかってないよ」
「なんですって?!」
私が腹立ちまぎれに険しい表情ではっきりと否定をすれば、母は反射的にヒステリックな声を上げた。
「仕事ひとすじで生きていこうと思ってたけど、店舗勤務になって希望の部署から外れて。仕事も恋愛もうまくいかない中、魁の存在にどれだけ救われたかわからない。私には魁が必要なの」
ひっそりとだが愛し合う仲だったはずの駿二郎から煮え湯を飲まされ、私はどん底だった。
そんな私に図らずも寄り添ってくれたのは魁だ。彼の純粋な気持ちが私の傷ついた心を癒してくれた。
父に続いて今度は妹が援護射撃をしてくれた。
「お姉ちゃんがその人と付き合って幸せならそれでいいよ。昔、私とお母さんでお姉ちゃんの結婚の世話を焼いて大失敗したじゃないの。ひどいことをしたって、私は今でも反省してる」
京香がそんな気持ちを持ち続けていただなんて、今初めて知った。
たしかに二十五歳でお見合いをしたきっかけは、京香が結婚を控えていたからだったけれど、私の婚約解消は彼女のせいではないのに。
「ふたりとも郁海の味方をして……私だけ悪者?! 私はね、魁くんや郁海の将来を考えて言ってるの。人生は“今”だけじゃないのよ?」
母が気にしているのは人生設計とか体裁だし、私が魁との恋愛で大事にしているのは気持ちの部分だから、どこまで話し合っても平行線だ。
「お母さんはさ、なんにもわかってないよ」
「なんですって?!」
私が腹立ちまぎれに険しい表情ではっきりと否定をすれば、母は反射的にヒステリックな声を上げた。
「仕事ひとすじで生きていこうと思ってたけど、店舗勤務になって希望の部署から外れて。仕事も恋愛もうまくいかない中、魁の存在にどれだけ救われたかわからない。私には魁が必要なの」
ひっそりとだが愛し合う仲だったはずの駿二郎から煮え湯を飲まされ、私はどん底だった。
そんな私に図らずも寄り添ってくれたのは魁だ。彼の純粋な気持ちが私の傷ついた心を癒してくれた。