全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「ご近所の鈴木さんなんだけど、三十九歳になる娘さん、最近結婚したんだって」
「へぇ~、そうなんだ」
「親御さんはホッとしたでしょうね。不倫してるって噂のあった子だから」
口に含んでいたアイスコーヒーを思わず吹き出しそうになった。
隣に座る母がゴホゴホとむせ返す私を見て「なにやってるの」とティッシュを差し出す。
「不倫?!」
「本当にしてたかどうかは知らないけど、不倫なんかする女は最低よ!」
母はあらためて言うまでもなく、“アンチ不倫”を絵に描いたような人だ。
娘の私が不倫していると知れば、絶対に怒り狂って卒倒するだろう。
だから絶対に母にはバレてはいけない。
「ねぇ、例えばの話だけど、お父さんが不倫したらお母さんはどうする?」
あの父が不倫するなんてありえないのだけれど、母がサレ妻の立場になったらどういう行動を取るのか、ふと尋ねてみたくなった。
「相手の女に猛毒を盛る」
「えぇ?!」
「まぁ、それは無理だから。……ガッツリと慰謝料を請求するわ。どんなに謝っても許さない。相手が破産するまで追い込んでやる」
「へぇ~、そうなんだ」
「親御さんはホッとしたでしょうね。不倫してるって噂のあった子だから」
口に含んでいたアイスコーヒーを思わず吹き出しそうになった。
隣に座る母がゴホゴホとむせ返す私を見て「なにやってるの」とティッシュを差し出す。
「不倫?!」
「本当にしてたかどうかは知らないけど、不倫なんかする女は最低よ!」
母はあらためて言うまでもなく、“アンチ不倫”を絵に描いたような人だ。
娘の私が不倫していると知れば、絶対に怒り狂って卒倒するだろう。
だから絶対に母にはバレてはいけない。
「ねぇ、例えばの話だけど、お父さんが不倫したらお母さんはどうする?」
あの父が不倫するなんてありえないのだけれど、母がサレ妻の立場になったらどういう行動を取るのか、ふと尋ねてみたくなった。
「相手の女に猛毒を盛る」
「えぇ?!」
「まぁ、それは無理だから。……ガッツリと慰謝料を請求するわ。どんなに謝っても許さない。相手が破産するまで追い込んでやる」