全部欲しいのはワガママですか？～恋も仕事も結婚も～

「仕事はなにをやってるの？」

「ずっとフリーターです。由華さんと郁海さんは？」

「私たちは同じ会社の同僚。でも郁海とは姉妹みたいに仲良しなの！」


　美知留ちゃんを交え、お互いにいろいろと話したのだけれど、私たちは打ち解け合うのが本当に早かった。

　彼女は一度も正社員として働いたことはないが、その代わり多種多様なアルバイト経験があるそうだ。
　ある意味それが彼女の武器だと言える。

　“井の中の蛙大海を知らず”という言葉があるが、私はどう考えてもそっちだろう。
　子どものころから母の価値観に染められてきたのもあって、冒険するのは苦手だから。

　でも美知留ちゃんは違う。興味を持ったものはなんでもやってみるタイプだ。

　由華さんが美知留ちゃんへ羨望の眼差しを向けている。
　美知留ちゃんの恐れを知らない感じを気に入ったのだと思う。私も彼女の若さがうらやましい。


「私から見たら、由華さんたちもカッコいいよ。男に頼らず生きてるでしょう？」


　美知留ちゃんの言葉を聞き、由華さんはうなずきながらもお腹を抱えて笑った。